生徒が教えてくれたこと
レッスンはいくつか拠点がありますが、その1つに誘惑が多過ぎる。ケーキが上手い喫茶店がそこら中にあり、どうしても空きが出来た時は練習か食うかの生活です。そろそろ体型がマズいことに。
楽器の講師をしていると、勿論、自分にも好影響。自分とは異なる感覚を持つ生徒がいると、それはそれで学ぶことがあります。私のレッスン生には決まった基礎的な練習や課題といったものを出すことはしておらず。その都度、曲で躓いた部分の改善方法を、こんな練習をしたら出来るのではないか!、、、と生徒と一緒に考えていきます。
レッスンを始めるモチベーションは多様。例えば憧れのプレーヤーがいるとか、、、
本当は目標のプレーヤー本人に習うのが最適です。ただ売れっ子にいたってはそうはいかない、、、。
講師は全力でそのプレーヤーの研究をする必要があります。
私の生徒の1人は、ラバーマウスピースを吹いていながら、ユッコミラーさんというメタルマウスピースをブリブリ吹く圧の素晴らしいプレーヤーを好んでいる方がいます。
メイヤーであの音が出せるようにしたい。
そんな要望もあります。実際にマウスピースを合わせて一緒に悩む。それがレッスンの楽しさではないかと感じています。
Mouthpiece “Morgan Excalibur”
以前、紹介したVandorenV16 ハードラバーと並行して使用する新たなマウスピースを購入!
前々から好きなプレーヤーが使用し気になっていたラルフ モーガン社のMorgan Excaliburです。ヨーロッパの上質なラバーをしようしており、試奏から音の纏まりとデカさにはビックリしました。
モーガン社製のマウスピースは機械で型抜きしたのち、職人の手により最終仕上げをします。勿論、個体差が出るのも当然。個体差があるマウスピースは嫌!という方もいらっしゃるかとは思いますが、逆に飛び抜けて素晴らしいマウスピースに出逢う可能性がある!というのは魅力です。
ラルフ モーガン氏が亡くなってから、多くの職人は会社を抜け、自身のブランドを設立、昨今は弟子の数人がマウスピースカフェという会社を立ち上げ、高品質なマウスピースは世界的に人気を博しています。
残った職人たちは新しいモデルの開発は勿論、ラルフ モーガン氏本人がいた頃のモデルも作り続けています。
彼が亡くなる前、自身最高傑作に伝説の名を付けたのが”Excalibar”今回購入したマウスピースです。
特筆すべきは密度の濃い音質。特に音域によって音質が疎かになるマウスピースが多い現代において、全音域ムラのない吹き心地は群を抜いて素晴らしいと感じています。その中でも音痩せをしない高音域は抜群で、フラジオ音域にも棚があるのではと感じるほど楽に出すことが出来ます。
形状はジャズプレーヤーに多く使われている物の中ではかなり細め、他のメーカーと大きく異なる点はここです。クラシックプレーヤーに好まれているSelmer s80に近い加え口の形状で、しかもアルト用に近い。なんとアルト用オプティマムがピッタリ装着出来ます。かなり細い!
ということは、依然アルトではs80C☆一本で勝負している私にとっては、アルトとテナーでアンブシュアがあまり変わらず、リガチャーも1つで事足りるという利点があります。メーカーから届いた際、キャップやリガチャー無しと書かれていたのに何故か両方とも付属されていました。試奏用のリガチャーかと思いますが、レザー部分を切って軽量化し、丁寧にリードとの接地面をカットしてあり、無駄な締め付けが無いように工夫されています。抵抗感がかなり少なく、リードが暴れてしまう印象があります。マウスピースの特性上、レスポンスの速さや音の大きさを売りにしているのは理解できますが、流石に纏まりが無いかと。やはりそれなりにヘビーウェイトのリガチャーでガチッと固めて吹くとマウスピースの性格+密度の濃い艶やかな音質で、私好みに最大限に活かせると感じます。
Julian Leeもアルト用のオプティマムを使用しており、何故このプレーヤーはこのセッティングなんだろう、、、と研究すると勉強になります。
2018/6/30
所属ビッグバンドで実際に吹いてみました。
アンラッカーのオプティマムだと、アンラッカー 特有の軽さがあり、本来のゴールドラッカーに比べると軽くなり鳴り締めが浅い気がします。
ですが形状がピッタリのリガチャーというのは理解が出来ました。やはりピッタリくると落ち着きます。オプティマムの纏まりの良さ、マウスピースの全音域ムラのない音色。なんとかしてメッキ加工して重量を上げたい。。。なんと銀メッキ仕上げに特注したオプティマムを発注しました!✨
楽しみすぎる!!!早く納品されないかな
自身2度目のメッキ加工をお願いするのはバンドレンに精通しているノナカさん。前回の仕上がり、ご対応が素晴らしかった私イチオシのお店です。
取りに行くのも楽しみです✨
多種多様なセッティング
サックスのセッティング。
本体、ネック、マウスピース、リード、、、
何千、何万通りとあると思います。
勿論、昔の楽器に比べ、新しく発売になった楽器の方が性能としては良いものもあるでしょう。逆に昔の楽器に今でも追いつけない部分というのもあると思います。今では高価になってしまった素材や含有材が手に入らない云々。
性能で選ばないという人もいます。扱い難さが齎す影響が、好みの演奏に良く働く場合もあります。
この部分は性能で!でもこの部分は個性で選ぶ!という駆け引きも管楽器の非常に面白いところだと思います。
現在の個人的な意見をブログに留めておければなあと思います。
楽器本体
各メーカーから多種多様なモデルが出ており、仕様も異なるとあればそれこそ何万通りもあるでしょう。その中でも私の楽器の大きな特徴は銀メッキ仕上げというところにあると思います。私の82Zはヤマハ特有の音と言われ続けてきた悪い評価を払拭するため、敢えてメーカーの個性をどう無くせるか考え抜かれたものと言えるでしょう。その特徴は従来製品に比べ作成工程から異なります。
反応の良さというのが大きなテーマの1つになっていることは間違いないと思います。確かに別の音への移動がナヨッとせず、粒立ちはっきりとしています。ただ、パキッとしたヤマハの特徴、まるでピアノのように正確な棚分けが嫌という方も多かったかもしれません。それを改良したのがネック。標準装備のV1ネックです。これはヤマハ社製のネックの中で一番の太さ。柔軟性が増したと豪語しています。
息がたくさん入る
大きな音が”出しやすい”
表現?の幅が広がる
といった意見がありますが果たして本当のところは。
個人的感想です。
息がたくさん入るというのは、あくまでV1ネックより細身のネックで息を持て余していた、所謂振動率の高い方、若しくは肺活量の多い方。上手く息を音に変えることができる人は効率よく肺活量を使います。細身のネックだと息が余る。全て出し切らないと呼吸が苦しくなりますよね?ダブルリードに多く見られる悩みの一つかと思います。
次に大きな音が”出しやすい”も同様。今まで持て余していた方が太くする分にはより多くの息を使うことが出来、ボアが広い分音量を増やすことが期待できます。もともと上手く音にならなかったり、肺活量の少ないという方にはあまり関係ないかと思います。
ホースの先をつまむと飛び出す水流が強くなります。もともと出ている水の量が少なければ、何も変わらない、これと同じ原理だと思います。
最後に“表現の幅”と良く言われますが、具体的には音を当てるポイントが柔軟になると考えます。柔軟というと良いイメージがありますが、音程感覚や音質感を自身でコントロールする必要があるということ。素人が鍵盤を見ずにノールックで弾け!と言われているようなものです。
こう考えた上で、本体はYAMAHA-82ZS。
ネックはV1を採用せず、敢えてタイトなTC1S。
本体もネックも銀メッキ仕上げという判断に至りました。ラッカーと銀メッキの差は流石に大きく、吹き比べてあまりの違いに同じ楽器か?と感じたくらいです。どちらが良い、悪いというのはありません。ラッカー仕上げは立ち上がりが素晴らしく、その分自由度が増す部分も多いと考えられ、音階を吹けば音と音の境目がはっきり分かる。明確に吹くことが容易な楽器でした。銀メッキは比べると音質が少しまろやかに。大きな差は音量と抵抗感。同じ負荷をかけても楽器は良く鳴りません。そのかわり、ラッカーだと持て余すという方はワンランクヘビーだと捉えています。これは演奏的にも質量的にもです。抵抗感が程良くあったほうが、表現し易いという奏者も多く、私はそれに当たります。レスポンスが早いラッカーは簡単に音が出てしまい、私には幅を広げるのが難しい楽器でした。
更に、銀メッキ特有の音色感。これは感じ方には差があると思います。それを出しにくいと感じたのがV1ネックです。要は一番需要のあるラッカー仕上げの立ち上がりの良さをバランスよくするためV1が出来、銀メッキ仕上げには私は合わない。材質の吹き心地の違いは大きく、当然です。
ではV.E.Cの中間、E1ネックはどうか。
これがすごく良くて悩みました。マウスピースの選び方が、E1かC1かで変わると感じたからです。元々、そこまで強く吹き切ることが苦手な分、タイトなマウスピースでスピードを手助けしてもらっていたり、ジャズ志向になりオープニングを広げてみたり、大学卒業は路頭に迷っていました。
結論は後日書きますが、C1は比較的クラシカルなマウスピースに近いモデルで吹けると判断。82Z自体、やや875.875EXとは違う作りとなるため、あまりクラシックを専攻していたときと、セッティングを逸脱しないよう心掛けました。
マウスピース、ネックの相性は後ほど、、✨
Roppongi Satindoll
Raymond McMorrin Quartetを聴きに六本木サテンドールへ。
メンバーが豪華過ぎて3000円のチャージでいいの?と思うくらいラッキーな一夜でした。
Raymond McMorrin
私の先生。Horace Silverの最期のライブメンバーでありJackie Mcleanを師匠に持つ。今回は普段使用しているメタルマウスピースではなくダダリオのラバーを使用されていました。
Gene Jackson
日本を中心に活躍されているドラマーで、テレビでも度々お目にしています。パワフル且つ繊細なプレーで共演者との絡みが凄いなと思いました。
粟谷 巧
北海道出身のベーシスト。大人気でRaymond先生もなかなかご一緒出来ないとのこと。都内に来られた際はプレーヤー達の競合が凄い!?New Albumのメンバーでもあります。
Dave Bryant
この一夜で大ファンになりました。Raymond先生とはアメリカからのお付き合いで、現在もニューヨーク在住。今では年に数回しか会う事ができない貴重な存在と紹介されていました。今でも日本に駆けつけてくれる親友がいるのも、お人柄の素晴らしいRaymond先生ならでは。プレーは随所にネタが入っていたり、何よりもClassicalな響きも大切にされているところに感銘を受けました。
刺激を受け過ぎた一夜でした笑
Eric Alexander
昨日は生徒のマウスピースを選定しに都内へ出て、夜は自転車部の打ち上げで焼肉屋へ!
マウスピースがサクッと選べてしまったので、打ち上げまでの時間ブックオフで掘り出しものを探すことに。Eric Alexanderの特集記事を発見し1時間も立ち読みしてしまった。
彼がアルトではなくテナーを選んだ理由は、高校生までアルトを吹いていたが、大学生の頃に友達から借りたテナーがしっくりきたため。と簡単な理由だった。それからテナーに決めてしまったとのこと。
そんな感覚で世界的ミュージシャンになってしまったのだから、、、人生ってわからないなー
一般的なティップオープニングの例
西洋音楽を専攻していた私にとって、ジャズに向くとされている広いオープニングのマウスピースに変えるというのは一大決心でした。でもそれから4年間。長い間苦労をし、困ることがなかったフラジオや増しては運指上の音域でも外してしまうことが多々。そんな時はやはり近代的にネットでアレコレ調べてしまいます。
よく拝見しているプレーヤーのブログがあります。
私と同じく大学までクラシック専攻でその後、ジャズへと転向し名前を言えば音楽家なら誰もが知っている有名なプレーヤーになられた方。意見を参考にさせていただいているのですが、、、
ジャズの巨人達の中にも、オープニングの狭いマウスピースを好んで使っていたプレーヤーは沢山いた!という記事が。
一見”ジャズっぽい音がする”広めのオープニングに関しての注意事項と勘違いを鋭くご指摘されていました。広いオープニングの音が好きな人はもちろんそれで頑張るしかないですが、狭い音を好むものもいる!というのです。
実際にオープニングが狭かった(狭かった時もあった)プレーヤーは名だたる巨人ばかり。ウェブスター、スティット、コールマン、そしてなんと言っても憧れのエリックアレキサンダーもリンクの5番を使っていたことがあるそうで。それを知って早速、新しいものを海外から取り寄せています。あと1ヶ月くらいはかかるのですが、、、届いたらレビュー出来ればと思います。
タイトorファット
新しいネックが届きました。
TC1S。ヤマハ社製のネック3種類の中で最もボアが狭く、抵抗の強いもの。マウスピースとの相性や管体の材質等、多方面から研究を重ね他社製のネックも視野に選定して参りました。
ネックをC1に決めた理由!の前に
ヤマハ社から新しくYTS-82ZASPが個数限定で登場しました。製品略称のASP!、、、最後には施す塗装に使われる材質のイニシャルが入ります。ヤマハ初、アンバーラッカー塗装されています。現在、師事していてヤマハと契約している師匠の話では、とにかくクリアで、反応が良く、それでいて音が割れにくい楽器だそうです。そのかわり、吹きごたえのある質量の大きい楽器を使用していた人からすると、少し消化不良に感じるかもしれないとのこと。お値段は70万超。ヤマハにしては高いですね、、、
開発に携わっている奏者の三木俊雄さんは、以前から人気ヴィンテージサックス特有の”コツン”と鳴る立ち上がりの良さをどう再現するかを念頭に置いていました。奏者自身がアタック良く演奏するのは非常に高度な技術です。粒立ちの良い”音の切り替わり”やニュアンスを分かりやすく伝えられる演奏をすることは奏者にとって大切なこと。それをし易い(手助けしてくれる)楽器ができたら素晴らしい。と考えたのでしょう。逆に言えば82Z(Ⅱ)より前のヤマハ製の楽器でMarkⅥ等の立ち上がりを表現出来ていた方は素晴らしいと感じます。従来のTC1ネックを新製品ではより軽量化し、無駄の無い管体への伝達性を実現したとか。では今回私が購入したTC1Sは無駄があるのだろうか、、、
実は新製品の改良が、購入のヒントになりました。
ボアの広いファットネックは息通りが良い反面、音が当たる場所が多くコントロールが比較的難しいと言われています。特に口腔内をいろんな形に変えて吹く自分のようなプレーヤーは、その都度、調整が必要です。
ジャンルにもよるとは思いますが、私はタイトネックにして楽器やネックを鳴らすための息量をセーブ出来るようになったと捉えています。余計だったパワーをマウスピースに使うことができるため、その分ヘビーなマウスピースを選べて理想の音作りが出来ています。
反応の良いコンディションの楽器を使用することで、選ぶマウスピースの幅が広がったと個人的には感じています。
理想に近づくために、サックスはあらゆる手段を取ることが出来ます。奏法自体を変えて良くなることもあればセッティングのバランスを見直すことで改善されることもあります。行き詰まった時には、一度楽器を見直してみるのも良いと思います。